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概要−京都大学経済研究所について−

所長挨拶

所長近影
京都大学経済研究所
所長西山慶彦

京都大学経済研究所は、産業経済に関する総合研究を目的として、国立大学設置法により 1962年4月京都大学に附置されました。 それ以後現在まで半世紀以上にわたり、わが国の経 済学の発展に先導的な役割を果たしてきました。これまでに理論経済学、応用経済学ならび に計量経済学の分野を中心として国際的な研究成果をあげ、経済学の学術研究を推進する世 界のトップクラスの経済研究所の一つとして広く認知されています。経済学の基礎理論研究を 主軸に据えつつも、時代の要請に合わせた研究も行うべく柔軟に研究組織体制を編成し、 現在は経済情報解析部門、経済制度研究部門、経済戦略解析部門、ファイナンス研究部門の 4部門と複雑系経済研究センター、先端政策分析研究センターの2センターの体制で研究を行っています。 近年は、経済学の問題解決型および政策科学的側面の研究にも力を入れ、EBPM(evidence based policy making) の実現を念頭においた政策評価、政策提言などを積極的に行い各方面から高い評価を受けています。

  本研究所の学術研究は、三つのキーワード、国際性、先端性、学際性によって特徴づけられます。所員の一人ひとりが国際的なレベルで経済学の研究に取り組み、その発展に資することを最大のミッションと考え、つねに最先端の研究を開拓してその分野をリードしていくことを目指しています。多くの所員は、世界の主要大学の研究者と研究ネットワークを有し、国際的な共同研究を推進しています。これまでに、ノーベル経済学賞受賞者を始め、多数の海外の研究者が本研究所を訪問し、所員と活発な研究交流を行っています。また、ヨーロッパとアジアの大学を中心に、8つの大学の経済学研究機関とMOUを締結して、国際交流を図っています。歴代所員の出身学部は、経済学部だけでなく理学部、工学部、農学部などいわゆる文科系学部に限らず、多岐にわたります。近年、経済学研究の学際化の進展は著しく、本研究所の所員は、経済学の分野にとどまることなく、政治学や経営学などの他の人文社会科学の分野、さらに、数学、物理学、工学や生物学、医学などの分野の研究者との研究交流を積極的に行って分野融合的な研究を行っています。関連して、本研究所は大学内外の異分野の組織や部局と連携した研究を推進するユニット活動を行っています。「統合複雑系科学国際研究ユニット」は、本研究所が中心となって設立されたもので、複雑系に関する国際的・学際的研究を行っています。「社会科学統合研究教育ユニット」は学内の人文社会系部局といくつかの自然科学系部局が連携し、情報化時代に対応してデータ分析を重視した新しい社会科学の設立を目指すものです。また「持続可能社会創造ユニット」では、資源や環境などをキーワードとして分野横断的に持続可能な社会システムに関わる研究を行っています。これらの活動を通じて、多くのユニークな分野融合的研究を進めています。  

国際的学術誌に発表した一人当たりの論文数、一流学術誌における被引用頻度数は研究評価の指標として標準的に 用いられるが、これを基準にすると本研究所は、日本国内の経済学研究科(学部)・研究所の間ではつねにトップを争う 水準を保持しています。本研究所が日本を代表する経済学研究の中心的な地位を保ち続けることができるのは、 研究所発足当初から、所内の研究環境と仕組みをアメリカ型のそれに近づけようと努力された先輩方の斬新な「改革」精神 のおかげです。 当時としては珍しかったディスカッションペーパーとして論文を仕上げ、海外の研究者にそれを送付する。 そして、レフェリー(査読)付きの国際的専門誌に論文を投稿する。研究者の「業績」は主に専門誌に掲載される論文の 数と質によりはかる。 採用・昇進の基準はあくまでも「業績」本位とし、出身大学にこだわらない。研究所創立当初の 1960年代後半の日本の経済学界において、このような研究体制は、 他に類を見ないものでした。 そうした改革姿勢は、 現在の所員に継承され、さらに発展しています。

経済・社会、研究・教育環境は日々変化しています。本研究所は大きく二つの方向で進化しています。ひとつの方向は、 プロジェクト型の共同研究によって経済学の発展に寄与することです。 2010年度には「複雑系経済学」と「経済戦略と 組織」を中心的なテーマに基礎研究に力点をおく共同利用・共同研究拠点「先端経済理論の国際的共同研究拠点」として 文部科学省の認定を受けました。その成果が高く評価され、2016年に拠点として再認定を受け、現在第2期目の活動を 行っています。本拠点のミッションは、経済研究所の研究設備や資料・データ等を国内外の多くの研究者の共同利用に 供して共同研究を行い、それを通じて国際的な経済学研究の発展に寄与することです。それを達成するために、 主たる拠点事業として、公募による外部の研究者との共同研究プロジェクトを行っています。これにより、 研究者コミュニティに本研究所が培ってきた研究資源と国際的研究ネットワークを提供するという学界における研究所の 「公共財」としての役割が強化されています。過去には、2003年度からは21世紀COEプログラムの拠点として、 2008年度からは、慶應義塾大学・大阪大学と連携したグローバルCOE教育研究拠点として、大学院生・若手研究者の 育成や研究活動を行っていました。もうひとつの方向は、政策科学的側面の研究に力を入れることです。 2005年度には、 先端経済政策分析研究センター(CAPS)を本研究所内に附置し、現在第3期目の事業に入っています。このセンターでは、 5〜6の府省や民間シンクタンクから任期付きで5〜6名の教員を採用し、その協力を通じて政策研究を進めています。 ここで得られる研究成果を中心にして積極的に政策提言を行い、理論と政策の間のインターフェースの充実によって、 広く現実の社会・経済に貢献しています。また、CAPSを中心として、最先端の経済学研究の成果を広く一般に紹介する ことを目的とする市民向けシンポジウムを定期的に開催しています。

研究はもちろんのこと、教育・人材育成も本研究所の重要なミッションです。所員は、大学院経済学研究科の協力講座の 教員として、大学院生のコースワークを中心に教育指導にも積極的に関わっています。 また、様々な形で若手研究者の 採用、受け入れを進めています。特に、若手採用の人事においては、2010年度より京都大学および国内の社会科学分野の 中でいち早くテニュアトラック制度を導入し、若手研究者の採用・育成に新しい扉を開いております。若手研究者の育成に 当たっても国際化を重視しており、アジアを中心とする経済研究所群で毎年開催している国際研究集会AEI5に優先的に 派遣し、研究成果の発表や研究ネットワークの拡充の機会を提供しています。それらの若手の多くは、当研究所で研究者 としての第一歩を踏み出した後、研さんを経て主要大学の教員として巣立っており、研究者の養成機関としても重要な 役割を果たしています。

本研究所は、常に最先端の経済学研究に邁進し、世界の多くの研究者を引き付ける共同利用・共同研究と教育の拠点として、 わが国の経済学の発展に寄与し、若手研究者を育成してまいりました。今後も、経済学の創造・発展の研究センターとして の役割を持続的に果すべく弛みない努力をしていく所存です。 皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

現員

  本体 国内客員 外国人客員 その他の補助金等
教授 12 1 1 - 14
准教授 8 1 1 - 10
講師 - - - - 0
助教 2 - - - 2
研究員他 14 - - - 14
事務職員 6 - - - 6
合計 42 2 2 0 46

歴代所長

  氏名 期間
初代 岸本 誠二郎 1962. 4. 1 〜 1966. 3. 31
第 2代 青山 秀夫 1966. 4. 1 〜 1971. 11. 30
第 3代 馬場 正雄 1971. 12. 1 〜 1974. 3. 31
- 森口 親司 (事務取扱) 1974. 4. 1 〜 1974. 7. 15
第 4代 尾上 久雄 1974. 7. 16 〜 1978. 7. 15
第 5代 行澤 健三 1978. 7. 16 〜 1980. 2. 8
- 宮崎 義一 (事務取扱) 1980. 2. 8 〜 1980. 3. 31
第 6代 宮崎 義一 1980. 4. 1 〜 1983. 4. 1
第 7代 尾上 久雄 1983. 4. 2 〜 1986. 3. 31
第 8代 馬場 正雄 1986. 4. 1 〜 1986. 10. 27
- 小池 和男 (事務取扱) 1986. 10. 27 〜 1986. 12. 31
第 9代 小池 和男 1987. 1. 1 〜 1988. 3. 31
第10代 杉本 昭七 1988. 4. 1 〜 1990. 3. 31
第11代 佐和 隆光 1990. 4. 1 〜 1994. 3. 31
第12代 福地 崇生 1994. 4. 1 〜 1995. 3. 31
第13代 佐和 隆光 1995. 4. 1 〜 1999. 3. 31
第14代 藤田 昌久 1999. 4. 1 〜 2001. 3. 31
第15代 佐和 隆光 2001. 4. 1 〜 2006. 3. 31
第16代 西村 和雄 2006. 4. 1 〜 2010. 3. 31
第17代 矢野 誠 2010. 4. 1 〜 2012. 3. 31
第18代 溝端 佐登史 2012. 4. 1 〜 2016. 3. 31
第19代 岡田 章 2016. 4. 1 〜 2016. 12. 31
第20代 溝端 佐登史 2017. 1. 1 〜 2020. 3. 31
第21代 西山 慶彦 2020. 4. 1 〜 現在

名誉教授

  氏名 授与年月日
No. 1 岸本 誠二郎 1966. 4. 2
No. 2 青山 秀夫 1973. 4. 2
No. 3 尾上 久雄 1986. 4. 1
No. 4 宮崎 義一 1990. 1. 23
No. 5 瀬尾 芙巳子 1993. 4. 1
No. 6 杉本 昭七 1996. 4. 1
No. 7 森口 親司 1997. 3. 4
No. 8 福地 崇生 1997. 3. 4
No. 9 青木 昌彦 2001. 3. 6
No.10 佐和 隆光 2006. 4. 1
No.11 藤田 昌久 2007. 4. 1
No.12 上原 一慶 2007. 4. 1
No.13 坂井 昭夫 2007. 4. 1
No.14 塚谷 恒雄 2008. 4. 1
No.15 西村 和雄 2010. 4. 1
No.16 若杉 隆平 2012. 4. 1
No.17 今井 晴雄 2015. 4. 1
No.18 三野 和雄 2015. 4. 1
No.19 有賀 健 2016. 4. 1
No.20 矢野 誠 2018. 4. 1
No.21 小佐野 広 2020. 4. 1

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