2001年6月に東京電力と東京ガスは、東京千代田区大手町の8月と9月の平気気温に関してのリスクを互いにスワップするという契約を行った。東京電力の場合、夏の平均気温が高いと利益は増加するが、それが低いと期待される利益が得られない。東京ガスの夏の収益構造はこの逆にあるという(気象庁委託調査[6])。
収益構造がこのような関係にある企業が、ゼロコストのものに互いに保険を掛け合うひとつの方法としてリスクスワップの妥当性を、刈屋・遠藤・牛山(2003)が提案したSVモデルの下に実証的に検証する。刈屋(2003)では、このようなリスクスワップの完全等価性、モーメント等価性を各々のペイオフの確率分布に基づいて定義し、そのための条件を考察している。刈屋(2003)によれば、リスクスワップのペイオフを定義する基礎となる指数(平均気温や平均降雨量など)の確率分布が対称でないと、完全等価性を求めるのは難しい。ここで注意したい点は、一般に天候に関わる変量は複製可能でないため、モデルは不完備であり、その派生商品などの対して、リスク中立的な評価はできない。それゆえリスクを考慮したフェア-バリューの評価が求められる。ここでは、2000年までのデータをもとに構築されたSVモデルをもとに、モンテカルロシミュレーションにより2001年の7月と8月の平均気温の予測確率分布を導出し、交換されたペイオフの等価性を検証する。その結果からみる限り、少なくとも2001年の東京電力と東京ガスのリスクスワップは、合理的でなかったことを検証する。またペイオフの基準価格を変更した場合には、少なくとも2次までのモーメント等価性は近似的に確保されることを見る。標本期間を変えた場合の結果を比較する。